自転車の交通事故
いざというとき保険の確認を
弁護士 津田二郎
Q 小学生の子どもが歩行中に自転車とぶつかって、骨折してしまいました。費用について何とかしたいのです。
A それは大変でしたね。加害者が自転車の損害保険に入っていないでしょうか。加害者が自転車の損害保険に加入していれば、自転車事故によって生じた損害を償ってもらえます。
Q それが、加害者は自転車の損害保険には加入していなかったようなのです。
A もし加害者やその家族が自動車を所有していて、任意の損害保険に加入していれば、その保険で加害者が生じさせた損害を賄えないか確認してみてください。保険加入者やその家族が自動車事故以外で生じさせた事故による損害を特約によってカバーしているものもあります。
Q はい、一応確認してみます。ただ加害者は小学生だったのです。
A なるほど、そうすると加害者のご家族の協力が必要ですね。加害者の保護者が傷害総合保険に加入している場合には、その保険が使える場合があります。また火災保険やクレジット契約をしている場合に、傷害保険の特約がついている場合もあるので、この点も確認してみてください。
Q 加害者側の保険が使えなかったら泣き寝入りなのでしょうか。
A いいえ。もしお子さんが登下校の途中で事故にあわれたなら学校で加入している保険が適用されるかもしれませんので、学校に相談してみてください。加害者側で賠償責任を負う場合には保険金が下りない場合がありますが、加害者が逃走して誰だかわからないような場合には保険適用の可能性があります。また見舞金がもられることもあります。
そのほか、加害者側の保険が使えない場合でも、被害者側で加入している各種保険(傷害総合保険、自動車の損害賠償保険、火災保険、クレジット契約等)やその特約でカバーされていないか確認してみるとよいでしょう。約款を見てわからなければ、直接保険会社に問い合わせるとよいでしょう。
保険が適用されない場合でも、加害者のご両親に民法上の不法行為責任(714条1項本文)の責任を追求できる場合があります。
ただし加害者がきちんとルールを守って自転車に乗っていたのに、被害者が飛び出したなどの具体的事情によっては、加害者の保護者や保護者に代わって監督する者に責任が問えないとされる場合もあります(民法714条1項ただし書)。
今後は自転車事故など思わぬ大事になることがあるので、家族で傷害総合保険に入っておくと被害にあっても加害者になっても安心かもしれません。