相続トラブル、他人事ではありません 〜早めの対策の大切さ〜 弁護士 田村 優介

「うちは財産なんて大してないから、相続のことなんて気にしなくて大丈夫」と思っていませんか?

実は、当事務所にご相談に来られる方の多くが、「まさか自分の家で相続でもめるなんて思わなかった」とおっしゃいます。
相続トラブルは、大きな資産を持つご家庭に限った話ではなく、むしろ“普通のご家庭”こそ、もめごとが起きやすいのです。

統計上も、遺産分割がまとまらないために裁判所に係属した事件のうち、75%が遺産総額5000万円以下、という結果が出ています。

※参照:裁判所Webサイト「司法統計|遺産分割事件のうち認容・調停成立件数(「分割をしない」を除く)遺産の内容別遺産の価額別 ・全家庭裁判所」 http://www.courts.go.jp/app/files/toukei/055/010055.pdf


【よくあるご相談事例】

60代女性のAさんは、母親の死後、兄弟3人で遺産分割の話し合いをすることになりました。
遺産は、実家の土地と建物、そして少しの預貯金。母親は遺言書を残していなかったため、法定相続分に従って分ける話になったのですが…。

長男は「自分が長年、母親の面倒を見ていたのだから実家を譲ってほしい」と主張。
一方、次男とAさんは「公平に分けるべき」と譲らず、話し合いは数年にわたって平行線。ついには家庭裁判所での調停にまで発展してしまいました。


地元密着の法律事務所として、あなたのそばでサポートします

当事務所では、地域の皆さまにとって身近な法律相談窓口であることを目指し、日々ご相談をお受けしています。
相続に関するご不安やお悩みがあれば、どんな小さなことでも構いません。まずはお気軽にご相談ください。


大切なご家族の未来のために、今できることをご一緒に考えていきましょう。


🔷 相続開始「前」に起きがちなトラブル事例

① 遺言書がない・不備がある

遺言書がないことで、法定相続人同士の話し合いがこじれるケースが多くあります。
自筆証書遺言に不備があり無効となってしまう例や、偽造を疑われ無効裁判を起こされてしまう例もあります。

② 財産の把握が不十分

預金、不動産、借金など、被相続人の財産状況が不明確で、相続人間で不信感が生まれることがあります。
亡くなった後に多額の借金が発覚し、相続放棄について突然考えなければならなくなることもあります。

③ 家族内で「話し合い」がされていない

相続について家族で話す機会がなく、いざというときに意見が合わず争いに発展するケースが多くあります。
母親が再婚した義父との間に子がなく、前妻の子との間で財産をめぐって争いになった例などがあります。


🔶 相続開始「後」に起きがちなトラブル事例

① 遺産分割協議で意見がまとまらない

相続人が複数おり、遺産の分け方で揉めることがあります。協議が長引くと、人間関係までも極端に悪化してしまうこともあります。
地方にある実家を誰が相続するかでもめ、裁判所の調停に持ち込まれる例などがあります。

② 相続人の一部が行方不明・連絡が取れない

全員の同意がなければ遺産分割協議が成立しないため、手続きを進めることが難しいことがあります。
長く連絡をとっていなかった親族の連絡先が分からず、不動産の名義変更ができない、というご相談もあります。弁護士であれば、弁護士会照会などの手段も用いて相続人の連絡先を捜索することができることがありますので、ご相談ください。


③ 遺留分をめぐるトラブル

遺言書で特定の相続人に大半の財産を渡すとされた場合、他の相続人から「遺留分侵害」として請求されることがあります。


④ 名義変更・手続きの遅れ

相続人同士の対立により、預金や不動産の名義変更が進まず、凍結状態が長期化。
相続開始から5年経っても名義変更されず、固定資産税だけかかっている状態になっていることも。


✅ 弁護士からのアドバイス

相続は「人が亡くなってから考えること」ではなく、「元気なうちから備えておくこと」が何より大切です。
もし一つでも心当たりがある方は、早めに弁護士に相談することで、将来のトラブルを防ぐことができます。