外国人留学生の違法就労あっせんにご注意 弁護士 片木翔一郎

最近は,日本で働くために留学してきたという外国人の方が多くいらっしゃいます。留学生は,日本での就労資格を得るため,日本の学校を卒業後,留学ビザが切れるまでのわずかな期間に,就労先をみつけなければなりません。しかし,日本で学んだ技術などを活かした職業でないと就労資格が下りないため,就職活動はたいへんです。

ところで,このような留学生が,「留学ビザが切れるまでに就労先を見つけないといけない」という焦る気持ちにつけ込まれ,金銭を騙し取られる事件が多発しています。職業安定法は就労あっせんの際の手数料徴収を原則として禁止しています。それにもかかわらず,「就労ビザを得られるような就職先がある」などとして,留学生に高額なあっせん手数料等を支払わせるというものです。さらに,実際にあっせんされた職場は劣悪な労働環境であったり,およそ就労ビザの申請内容と異なる職務内容であったりします。

当事務所でも最近この種の事件を扱い,留学生らが違法に払わされた金銭を回収したことがありました。この種の違法なあっせんを行う業者の中には,中小企業に対して留学生の履歴書や紹介文などを一方的にFAXで送り付け,反応のあった企業に売り込むような方法で,あっせん先を手当たりしだいに探す業者もいます。また,さも公益的な活動をしているかのような団体の名称を掲げて違法なあっせん活動を行う業者もいます。

このような違法な就労あっせんを利用すると,雇用者も不法就労助長罪などに問われてしまうおそれがあります。特に経営者や人事の皆さんは,知らず知らずのうちに違法な就労あっせんに手を貸してしまうことの無いようご注意ください。