城北法律事務所 ニュース No.72(2015.6.1)

城北法律事務所創立50周年にあたって
~城北法律事務所の50年のうえに~

弁護士 菊池 紘

私たちは1965年の事務所創立以来、つねにみなさんの要望を丁寧にうかがい、その権利のすみやかな実現のために努力してまいりました。そうしたなかで「池袋に城北法律あり」との信頼をいただくまでになりました。それとともに私たちは、国民主権、平和、基本的人権、地方自治の憲法原則をまもるために力を尽くしてきました。そして今年、事務所創立50周年を迎えます。

■10年ごとの城北法律事務所をふり返ると、1995年のパンフレットには「この30周年の節目に私たちは『憲法・平和・人権』の市民集会と『憲法と労働組合を考える』シンポジウムを皆さんとともにもちました。それは、ほしいままの海外派兵と軍事大国の道を許さず平和と民主主義の憲法原則に沿った日本の未来を切り開いていくことと、人々の自由と人権そして広く人間の尊厳を守ることが、表裏一体の関係にあると考えるからです。」とあります。

そして10年前(2005年)の40周年にも憲法9条の擁護を掲げた集会を持ちました。そこでは「アフガニスタン、イラクの戦争を契機にして自衛隊の海外派遣がくりかえされるなかで、『戦争をする国』をめざすような憲法の改悪には、反対の声を強めなければなりません。」とされています。

■そして城北法律50周年のこの8月は戦後70年になります。この70年を通じて人々は、憲法9条のもとで海外の戦争を拒否し軍事大国になることを否定してきました。ところが私たちは今、アメリカとともに海外で戦争する国へ闇雲に向かおうとする政権の暴走に直面しています。この8月にも強行採決をくわだてている安倍内閣は、その安全保障立法(戦争立法)で、「いつでも、どこでも、どんな戦争でも、あらゆる形で、自衛隊がアメリカの戦争に後方支援で加担」できる法律を通そうと画策しています。この戦争立法でアメリカとともに、湾岸戦争でも、ユーゴも、アフガンも、イラクへも、シリアへも、ウクライナへも、すべての戦争に参戦できるようにしようというのです。

■70年続いた「海外で戦争をしない国」を投げ捨てる重大な進路変更が許されるかどうかは、国民的な議論を経てはじめて決めることができるものです。集団的自衛権は禁止されているというこれまでの政府解釈を一片の閣議決定で変え、必要な議論もないまま戦争する国への転換を強行することなど、あってはならないのです。憲法9条が厳としてあるもとで、こうした暴挙を数の多数で強行しようとする、立憲主義のじゅうりんを許してはなりません。

昨年末以降、事務所は集団的自衛権反対をはじめ5回の憲法連続講座をもちました。そしてこの50周年の区切りの講演会で「今こそ平和憲法とともに立つ」私たちの決意を示そうと準備を進めています。井筒和幸監督をお招きし、「私たちは海外戦争法に断固反対します」と訴えます。みなさんのご参加をお願いします。