城北法律事務所 ニュース No.56(2007.8.1)


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加賀保育園裁判
保護者の権利を守るために

弁護士 深山麻美子

公立保育園の保護者のみなさん、ご自分が、その公立保育園で保育をうける権利を有していることをご存じですか?

みなさんは、ご自分で選んで申し込んだその保育園で(通常就学時まで)保育を受ける契約を、市町村や区と結んでいるのです。私立保育園なら当たり前のことなのに、公立だとなんだか、お慈悲で入園させて貰っているような気持ちになってしまいますが、ちゃんとした契約なんです。

契約ですから、契約の途中で、一方的に公立保育園を民営化してはいけません。

どうしても民営化しなくてはならない必要性や合理性がある場合は別ですが、そういう場合も保護者の不安や不満、意見や要望等を積極的に聞かなければなりません。

ところが、実際にはどんどん民営化だけが先行し、保護者の権利はないがしろにされているのが現状です。

加賀保育園の裁判では、その不当性についても強く訴えていきますので、是非ご注目下さい!!


東京大気汚染公害裁判
ついにやった! 全面解決へ

弁護士 小沢年樹

歴史的和解勧告

さる6月22日、東京高等裁判所は提訴以来11年続いた東京大気汚染公害裁判の和解を勧告した。勧告は、「この裁判は自動車排ガスによる大気汚染の問題を社会に提起したものであり、東京の大気汚染状況が最近改善されてきたのは(あの大和町交差点も環境基準をクリアーしている)、裁判を起こした原告らの問題提起を受けとめた行政・メーカーらが努力した結果であるともいうことができる」とした。

そしてこの裁判の提訴は、「ひとり原告らの個人的な利益のためのみになされたと矮小化すべきではなく、その社会的意味を軽視すべきではない」としている。さらに、裁判の大きな成果として、都内全域対象の気管支ぜん息患者への医療費救済制度が創設されることをあげ、「これまでに例を見ない画期的なこと」であると賞賛している。

私たちは、こうした裁判所のことばに深い感慨をもって聞き入った。それはまさに、原告患者らが自分の裁判だけでなく、公害をなくし全ての被害者を救済する社会的活動に奔走する姿に、裁判所が深い共感と敬意を示すきわめて優れた内容のものであった。

12億円のメーカー解決金

また高裁は、原告患者らへの解決金として、自動車メーカーらが12億円を支払うことを勧告した。この金額は、長年にわたる病に苦しめられた原告患者らの深刻な被害からすれば不充分なものであった。しかし、(1)そもそも自動車メーカーを免責し、(2)救済範囲も巨大幹線道路の沿道50メートルまでに限定してしまった1次判決の賠償金額の3倍の水準であり、(1)東京全体に広がる大気汚染公害患者の存在と、(2)自動車メーカーの公害発生責任をはっきりと認める内容の勧告であった。 

そしてなにより、今回の和解勧告が実現することで、これまで何の救済もなく、深刻な医療費負担に苦しんでいる数十万人の都内のぜん息患者に、無償の医療を実現できることは、原告患者らにとって本当に大きな喜びであり、高らかな誇りでもあった。

勧告後の会議で原告患者らは、「この制度を待っている患者が大勢いる。一刻も早く解決して制度を実現することが私たちの役割だ。私はこの裁判の原告であることを誇りに思う。」と口々に語った。こうして原告団は裁判所の和解勧告を全会一致で受け入れた。

公害を根絶し、患者の完全救済へ

今回の和解解決は、あらたなたたかいのスタートでもある。私たちは和解条項の中で、国や東京都にさまざまな公害対策をとることを約束させ,その状況をチェックしていくための協議機関を設置させた。また、今後は生活補償までをも含んだ全国的な救済制度をつくっていくことが次の目標となる。

これまで裁判をご支援くださったみなさん、本当にありがとうございます。今後とも、公害をなくし、患者救済をすすめる運動へのご理解・ご協力をよろしくお願い申し上げます。

制度についてのご質問は公害患者会 03-5802-2170 にお問い合わせ下さい。