城北法律事務所 ニュース No.61(2010.1.1)


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目次

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<法律相談>

離婚後の生活が不安ですが・・・

Q 私は、45歳の専業主婦で、夫と20年前に結婚しました。12歳の娘がいます。昨年から夫の浮気をきっかけに、夫婦仲が悪くなってしまいました。できれば娘を連れて離婚したいのですが、私は仕事をしておらず、離婚後の生活が不安です。離婚すると、私や子供の生活費等はどうなるのでしょうか? また、老後の年金はどうなるのでしょうか?

将来の生活を支えるため、制度の活用を

弁護士 茨木智子

A あなたや娘さんの離婚後の生活を支えてくれる制度として(1)財産分与、(2)養育費、(3)年金分割制度等があります。

(1)財産分与:財産分与は、婚姻中に夫婦で築き上げた財産を離婚するときに分け合うという制度です。貯金や不動産などが対象になります。専業主婦家庭の場合、原則として半分ずつにするのが一般的です。というのも、主婦の家事労働があってこそ安定した給与収入が得られたと考えるからです。ただし、ご家庭によって事情も様々ですので、対象やその割合はケースバイケースです。

(2)養育費:養育費とは、子供が社会人として自活できるようになるまでに必要な費用で、親にはそれを負担する義務があります。専業主婦家庭の場合、夫の給与収入で生活していたわけですから、離婚後も、養育費は原則として資力のある夫が負担することになります。「子供が20歳になるまで月額いくら支払う」と取り決めるのが一般的で、家庭裁判所の算定基準が目安になります。子供が自立するまでの長期間にわたる約束ですので、支払の継続が心配です。そのため、裁判所での調停離婚か、公正証書による離婚で、養育費の支払いを強制できるようにしておくことが大事です。

(3)厚生年金分割:厚生年金分割制度は、平成19年から新しく始まった制度です。これを利用すれば、基礎年金だけでなく、婚姻していた期間中(たとえば20年間)に夫が負担した分の厚生年金を2人で分け合うことができるようになります。ただし、実際にその受給を受けるには、ご自身に年金受給資格があることが必要です。加入年数等の要件を満たさなければ、せっかく年金分割しても、受給できなくなってしまうので要注意です。

1,2,3に加え、相手の浮気が原因の離婚となれば、慰謝料なども請求できることがあります。将来の生活を守るためにも、すぐ離婚届に判を押してしまうのではなく、弁護士等に相談することをお勧めします。


すべての患者の救済へ
肝炎対策基本法が成立

弁護士 嶋田 彰浩

2008年1月に薬害肝炎救済特別措置法が制定され、薬害肝炎問題は一定の解決となりました。しかしながら、全国にウイルス性肝炎患者は、B型、C型含めて350万人以上いると言われ、全国各地の診療体制の格差や高額の医療費負担等、問題が山積みです。

そのため、薬害肝炎原告団は、日本肝臓病患者団体協議会(日肝協)、B型肝炎原告団と連帯し、医療体制の整備や医療費助成の支援策の実現を求め、「もう待てない、350万人のいのち」のスローガンの下、集会や街頭での基本法制定のための全国キャンペーンを展開してきました。皆さまのご支援に支えられ、約28万筆の署名が集まり、国会に請願もしました。

この間、不安定な政局に振り回され、与野党から提出されていた2つの法案も廃案になってしまうなど大変な困難を伴いましたが、ついに、昨年11月26日の衆議院可決を経て、30日に参議院にて全会一致で肝炎対策基本法が成立しました。ご支援下さいました皆さまに対して心より感謝申し上げます。

今後は、この基本法をもとに、各地の医療体制の整備や医療費助成の予算措置の具体化等に取り組んで参りますので、引き続きご支援の程よろしくお願い申し上げます。


医療問題にたずさわって
トラブル解決の第一歩は

弁護士 武田 志穂

私は城北事務所の弁護士の中では、比較的医療に関するご相談を他の弁護士より多く担当させていただいています。医療問題弁護団という医療被害の救済等を目的とする約200名の弁護士で構成される弁護団に所属し、また患者の権利オンブズマンという市民団体の法律相談員(ボランティアサポーター)を担当させていただいています。

医師とのトラブルのご相談でよく感じるのが、医師や医療機関とコミュニケーションがとれていない方がけっこういらっしゃるなということです。医師の治療方針に疑問がある、問題があると感じていても、その疑問を直接医師に尋ねることができず悶々としている方がけっこうおられます。患者の権利オンブズマンの相談では、そういった方にはまずご自分で疑問点などをまとめ、直接医療機関・医師と話をすることをお勧めしています。ご自分の健康等に関わる大事な問題ですから、医師の対応等にご不満・疑問をお持ちであれば、患者と医師双方が直接に忌憚なく話し合うことが、一番の解決への近道と考えているからです。直接話をしてみて納得ができた、医療過誤のケースで賠償問題についてもすんなり話がまとまったというケースもありますから、まずは勇気を出して直接話をすることをお勧めします。