城北法律事務所 ニュース No.53(2006.1.1)


Notice: Array to string conversion in /home/users/web03/1/1/0150011/www.jyohoku-law.com/wp/wp-content/themes/jyohoku-law.com/functions.php on line 75

目次

Array

意欲と元気を動かすもの
LOVE9を乗せる私の花を探して

弁護士 佐々木 芳男

晩秋の信濃路を父の郷里の法要で弟妹と4人の旅をした。週2回バスで園芸に通う85歳。家でも朝から晩まで戸外作業。近隣12軒に台車で大輪の菊鉢を配り、学校の玄関に土や肥料を持込み菊を植え、塀外の花壇栽培も。そんな父が転んで腰を痛め足が弱ったための付添い旅。10年前両親の金婚式祝いの1泊は各夫婦・孫で15人だから、親子だけの旅は約40年振り。父も良く歩き食べた。

嬉しさと意欲は人を元気にし、喜ぶ顔は絆を生み何人力をもたらす。父の花配りも元気の源。

TVで脳梗塞の免疫学者「多田富雄の闘い」を見た。しゃべれず、嚥下困難、右半身麻痺で単独歩行もできえきないのに頭脳は健全。その体で新作能の「原爆忌」を創作した。数十年続く免疫への放射能作用を調べ、科学者のおごりを考え続け、嚥下障害で水も飲めない頃に、原爆直下の「水をくれ」の叫びの地獄の苦しみを体感。語り継ぐべく愛する能の創作を発案。1語1語入力して音声化する機械で演出もした。失われた体から何かが生まれるのを探す日々という。後継者育成に懸け「寛容で豊かな研究」と言い、競争に負けても流れ続ければいつか太い川になると言う。若者が囲む。機械の1語を待って弾ける笑い。豊かな経験と識見と人間性が、その1語で若者に元気を与える。お酒をとろみ剤入りでゆっくり飲む嬉しそうな顔が歪んでも私を和ませた。

そう。憲法集会の小森さんも同じ。参加者の約1割が感想文をくれた。「ありがとう。元気が出た。」これが共通の声。簡明で大胆な分析に緊張と笑いと身近な視点。それが元気をくれた。戦争の地図と力関係の分析。石油資本と米英関係がイラクへ。米日が中東アジアの石油目的で上陸軍が必要。もう燃費高騰で竹輪と納豆も小さくなった。この話は、知る喜びが力になる皆の喜びだった。コントの「憲法君」、「靖国」の案内人に小泉再就職のネタ。ひねった自由な発想が笑いを確信に変える。女性らしいベランダ飾りと鉢飾りの「LOVE9」の運動は、花の喜びに声を乗せている。

集会は運動の原点を輝かせた。許せないものを指摘し、隣人も誰もが分かるメッセージを、相手の「心開く何か」に乗せることだ。

9条を語るのは花を配るのと同じ。とろみをつければ誰でも喜ぶ。若くない私は、私の胸に種を見つけた。花にして広げる若さを見つける年にしたい。


長時間過密労働の是正実現へ
健康被害は深刻な状況となっている

弁護士 小薗江 博之

昨年1月から東京都の教職員組合の弁護団に加入しました。 

教職員の長時間過密労働には、休憩時間がとれない、勤務が長時間に及び残業代が支払われない問題などがあります。

休憩は、労働基準法では、「1日の労働時間が6時間をこえる場合は45分以上、8時間をこえる場合は1時間以上の休憩時間を労働時間の途中に」付与することになっています。

しかし教員は、昼食時間も児童と一緒に食事をするので、東京都では午後4時から45分間という極めて変則的な付与になっています。しかし行事や試験の準備などは、児童が帰宅してから後の時間帯にしなければできないので、実際にはこの時間帯に休憩を取ることはできません。またクラブ活動などに携わることもあります。

休息時間の割振りは、授業時間中に割り振られていて、休息を取ることは事実上できません。

長時間過密労働は日常的です。残業が常態化し、仕事を自宅に持ち帰っています。東京都以外では、行政による実態調査でも長時間過密労働が明らかになっています。

長時間過密労働を是正するには、教職員の定数を増加し、30人以下学級を実現する必要があります。

さらに超過勤務には、残業代(限定4項目以外)が支払われないという、知られざる法律があります。

そして東京都では、昨年度から教職員に対する評価が始まり、低い評価の職員は昇級が遅れるなどの不利益が発生します。しかし評価も恣意的に行われています。思い当たることがない評価や、年休で病気の手術をしたことや、職員会議で校長の意見と異なる意見を述べたことなどが、低い評価の対象事実になっています。これでは病気の治療はできないし、職員会議が形骸化することになります。

もちろん、長時間過密労働(残業代不払いも)は、教職員だけでなく、多くの業種にみられ、健康被害は深刻になっています。

私自身も10年前に、過密スケジュールのため、免疫力が低下し、右半身不随、飲食不能の症状が出たことがあり、現在もさまざまな症状が残っています。

この問題には、地道に関わってゆきたいと思います。


事務所創立40周年を迎えて

城北法律事務所は、1965年に「池袋合同法律事務所」名で開設され、その後「青柳盛雄法律事務所」となり、1970年から現在の事務所名になり、昨年創立40周年を向えることができました。創立40周年を記念して連続憲法講座を計9回実施し、最終回の「憲法集会」には約800名の参加をいただき、所員一同心から感謝しております。

事務所は、次の節目である創立50周年に向け、弁護士法1条にある「基本的人権の擁護と社会正義の実現」という理念を基本にすえ、同時に、日本国憲法の民主主義、平和主義の実現に向けて引き続き力を尽くす所存でおります。また、依頼者の皆さまの権利実現のために、誠実に弁護活動を行う決意でもあります。

昨年、自由民主党の「新憲法改正草案」が提案されました。それは、憲法が本来、国家を縛る法であること(立憲主義)を全面的に否定するものであり、また、憲法の恒久平和主義をも否定する内容にもなっております。私たちは、当然のことながら、このような「改正草案」を容認することはできません。そして、このような策動のみならず、日本国憲法の理念を否定する憲法「改悪」には、断固として反対していくべきであると考えております。

皆さまの一層のお力添えを心からお願い申し上げます。

*「憲法改悪に反対し、9条を守り、平和のために生かすことを求めます」の署名にご協力をお願いいたします。