城北法律事務所 ニュース No.79(2019.1.1)


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建設アスベスト訴訟 〜大阪高裁でも2連勝!〜

弁護士 松田 耕平

前回のニュース(夏号)では、「東京高裁で2連勝!」というタイトルで勝訴判決の報告をしましたが、今回は「大阪高裁でも2連勝!」という嬉しい報告です。

2018年8月と9月に京都と大阪の各訴訟の判決が大阪高裁で出ました。高等裁判所での判決は東京高裁での判決に続いて3件目と4件目となります。

結果はいずれも国と企業の責任を認める、全面勝訴! と言っても過言ではない内容となりました。国の責任との関係では、争点として注目されていた一人親方に対する国の責任も認められました。これで国に対しては10連勝。国は一体いつまで争うのでしょう。。。

アスベスト建材の製造企業についても、2つの判決とも昨年10月の東京高裁判決に続いて責任を認めました。これで高裁レベルでは3勝1敗となり勝ち越しです。高等裁判所レベルで企業に勝ち越したのは非常に大きいです。

これで全面解決に向けた機運が一気に高まるか!…と期待が高まったのですが、政府は動きませんでした。おかげで舞台は完全に最高裁へ。最高裁の判決が出るまでにはまだ数年はかかりそうですが、何度も書いているように、重い病気を抱えた原告の方々や遺族の方々にはそれ程時間があるわけではありません。政府や企業は、このことを真摯に受け止め、全面解決を真剣に考えて欲しいものです。

「あやまれ! つぐなえ!! なくせアスベスト被害!!!」このスローガンが実現する日が一日も早く訪れるよう、原告や支援の方々と一緒にこれからも頑張りますので、皆さんもご支援をお願いします。


IHI粉飾決算被害事件のご報告

弁護士 加藤  幸

2018年10月11日、2008年9月29日の第1次の提訴から、約10年の審理を経て、IHI粉飾決算被害事件の裁判が終了しました。

長い闘いの結果、原告らは被告IHIが否定していた有価証券報告書等虚偽記載(粉飾決算)を裁判所に認めさせ、また、請求の一部ではありますが損害の賠償を命じる判決を勝ち取りました。

本件裁判は、一部上場企業であるIHIが粉飾決算に対する金融庁からの課徴金納付命令を受け入れ、約16億円もの課徴金を支払ったという事実を前提にして提訴しました。

しかし、IHIは裁判において粉飾決算自体を全面的に否定し、同時に原告らの損害も全否定するという不誠実な対応に終始しました。IHIのこの対応は、地方裁判所、高等裁判所の判決で粉飾決算の事実が認められた後も改まることはなく、最高裁判所においても粉飾決算は行っていないとの主張を展開しました。

原告弁護団は、このIHIの主張と全面対峙して闘い、その結果、上記のとおり、IHIが一貫して否定していた虚偽記載(粉飾決算)については、東京地裁、東京高裁、最高裁のいずれにおいても原告らの主張が認められ、IHIの理不尽な主張は排斥されました。

他方、原告らが主張する損害については、裁判所が判断・定立した基準によって減額され、残念ながら原告らの請求額全額の賠償が認められるには至りませんでした。

企業の粉飾決算は、投資家に対する詐欺行為であり、絶対に許されない行為です。この裁判でIHIが行った粉飾決算という違法行為を明らかにすることで、証券市場の健全化に役立てたのではないかと考えています。


浪江原発訴訟 〜私たちの浪江を返せ〜 提訴のご報告

弁護士 結城  祐

当事務所の松田弁護士と私が弁護団の一員として取り組んでいる浪江原発訴訟について、この度提訴の運びとなりましたので、ご報告いたします。

浪江町は、2013年6月4日、原子力損害賠償紛争解決センターに対し、被告東京電力を相手方として、申立人となった浪江町民約1万5000人の代理人として、町民全体の一律解決を目指して、集団ADR(裁判外紛争解決手続)の申立てを行いました。2014年3月には、原紛センターは、慰謝料につき、「中間指針等が定める月10万円ないし12万円では慰謝し尽くされていない」として、東京電力が、浪江町民に対し、一律月額5万円(75歳以上の高齢者に対しては月額8万円)を増額して支払う和解案を提示しました。

ところが、東京電力が、原紛センターによる再三の説得にもかかわらず、上記和解案を合理的な理由なく違法に拒否し続けた結果、2018年4月5日、集団ADRは打ち切られました。この時の浪江町民の落胆と憤りは計り知れないほど強いものでした。

そこで、浪江町民は、集団ADRの理念を維持・発展させ、4つの目的(㈰国と東電の原発事故における責任を明らかにすること、㈪浪江町民の一律解決を目指すこと、㈫浪江町民の被害の甚大さを広く訴え、慰謝料に反映させること、㈬東電のADR和解案の違法拒否を許さないこと)を掲げ、国及び東電を被告として損害賠償請求訴訟を提起することを決意し、2018年11月27日、福島地方裁判所に第1次提訴しました(49世帯、109名)。今後も、第2次、第3次提訴と続く予定です。

今後も訴訟の推移をご報告してまいりますので、ご支援のほどどうぞよろしくお願いいたします。