城北法律事務所 ニュース No.68(2013.8.1)


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予防接種B型肝炎の個別救済がすすんでいます
-さらに再発防止と全ての肝炎患者のために!

弁護士 小沢年樹

【予防接種被害者の個別救済の進展】
戦後、1988年まで続いた集団予防接種時の注射器使い回しにより、日本では40万人以上のB型肝炎感染被害者が生まれました。国の責任を明らかにした2006年の最高裁判決、その後に全国訴訟を起こした原告団・弁護団と国との基本合意・特別措置法制定(2011年)によって、予防接種によるB型肝炎感染を証明する条件が明確化されました。これにより、現在は全国で約9500人が原告として裁判を提起し、多くの方が国から給付金を受け取って個別救済が実現しています。

【真相究明と再発防止-第3者機関の設置を!】
また、基本合意に基づく注射器使い回しの真相究明作業により、さまざまな事実と問題点が浮かび上がりました。

最大の問題は、注射器使い回しによる肝炎ウイルス感染の危険性が世界中で指摘されても、そうした情報と問題意識が厚生行政の各部門で共有されず、予防接種担当部門に注射器使い回しの危険性が正しく認識されなかったことです。

こうした縦割り行政の弊害を克服し、悲劇の再発を防止するためには、厚労省から独立した第3者機関をつくり、国民の生命健康に重大問題を発生させる事案の情報収集・対策をすすめることが不可欠です。

【全てのウイルス性肝炎患者のために】
さらに、長年にわたってこの問題を国が放置したため、すでに母親が死亡するなど予防接種による被害を立証できなくなってしまった多くの被害者を救済するためにも、現在は助成対象ではない肝硬変・肝がん患者への医療費助成を拡大するなど、ウイルス性肝炎についての恒久対策をいっそう充実させることが私たちの目標です。そのために、薬害C型肝炎原告団や肝炎患者団体の方々とも協力して、ひきつづき頑張っていく決意です。


「新外交イニシアティブ」(ND)を注目・ご支援ください

弁護士 田場暁生

この夏、仲間の弁護士、ジャーナリスト、研究者などと「New Diplomacy Initiative(新外交イニシアティブ・ND)」という団体を設立します。現在の日米関係のあり方に疑問を持つ人は少なくないと思います。現在の外交は、一部の声だけが届く仕組みになっており、日本に存在する他の多くの声がまったく無視されています。

NDは日・米・東アジア各国において、外交・政治に新たな声を吹き込むシンクタンクです(今夏正式設立。理事は鳥越俊太郎氏やマイク・モチヅキ氏〔ジョージ・ワシントン大学教授〕など)。シンクタンクとは何ぞや?との疑問を持つ方もいると思いますが、NDは現在外交・政治に反映されていない声を届けるために、情報発信・政策提言を行い、その提言した政策実現のため、国内はもとより各国における政府・議会・大学・メディアなどへ直接働きかけます。また、既存のマスメディア・外交ルートでは流されない情報を、国境を越えて収集し、また国内から発信します。

私が仲間とNDを設立しようと思ったきっかけにはワシントンDCでの留学・滞在経験が大きく影響しています。私は、鳩山民主党政権発足直前にワシントンの土を踏み、鳩山政権が辺野古移設断念にいたる流れをワシントンで見てきました。一部の米「知日派」や在ワシントンの官僚や日本メディアが日米外交を取り仕切る、そのあり方なども含めて日米関係がどのように動いているのかの一端も知ることができました。

米「知日派」の動向は、日本の国内政策に大きく影響を及ぼします。たとえば、子ブッシュ政権で国務副長官を務めたリチャード・アーミテージ氏などの提言どおりに日本は有事法制の整備を行い、憲法改正を含む集団的自衛権行使のための動きを活発化させています。また、昨年9月に民主党政権が原発ゼロ閣議決定を行おうとした際、米「知日派」の意向等によりこれが見送られました。どうして、米国の一部の人の意向で日本の政策が変わってしまうのか。このような現状が問題だと感じている「リベラル」な人は少なくないと思います。にもかかわらず、「リベラル」な側からは、米政府関係者などに直接意見・声を届ける取り組みは充分になされてきませんでした。

私たちは今まで、TPP、エネルギー問題(自然エネルギー・原発等)、沖縄米軍基地問題をはじめとする安全保障・平和の問題等について、米連邦議会議員や米識者等に働きかけ、実績をつんできました(たとえば辺野古への普天間米軍基地移設反対を訴える名護市長訪米のコーディネートなど)。

弁護士は、公害・薬害など大きな裁判では、日本の国会議員に働きかけるなど裁判外のルートも使って問題解決のために活動します。NDは、同様の活動を、外交・政治問題にもフィールドを広げかつ国境を越えて行おうというものです。

今の日米関係などのあり方に疑問を持ち、また、その情報の流れを変えたい方は、ぜひ会員となってNDの新しい挑戦を支えていただければ幸いです(8月11日にはアカデミー監督賞を2度受賞したオリバー・ストーン監督を迎えて設立パーティを行います)。関心のある方は「ND」や「新外交」でネット検索してみてください。