城北法律事務所 ニュース No.83(2021.1.1)


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弁護士に聞きたい どうして弁護士になったの?

ロックと弁護士

弁護士 田場 暁生

小学校の頃は、めっぽう足が速く運動神経もよかったため、短距離走の選手になるつもりでした。小学4年生の時、陸上クラブの小学6年生でも私より足が速い人はいませんでした。ところが、バイクのひき逃げ事故に遭い骨の移植手術を行い、オリンピックへの夢は断たれました(笑)。

中学校に入る前ころ、私の耳がロックミュージックを気にしだし、それ以降、ロックの虜になりました。中学生時代にはアフリカの貧困救済のための世界的なライブプロジェクト「ライブエイド」もありましたが、かぶりつくようにテレビを見ました。ギターを始め、高校に入ってからはバンドを組み、ライブハウスで演奏し、オーディションに応募するなどしました。ところが、プロになるのは難しい・・。(ちなみに、私はヴォーカル&たまにギター担当でした。ヴォイストレーニングもがんばりました)

他方、私が生を授かったころ、メディア関係の同じ職場に勤務していた両親が職場に労働組合を設立しました。法律事務所にも相談に行っていたようです。父の母へのプロポーズは「組合を作りたいけど、結婚しないか?」です。「おいおい、順番違うだろ」という私の感想はともかく、母親は職場で差別を受けていました。母は泣きながら「許せない人はずっと許さない」と言っていました。父は、母が抱える問題などもあり、昇進が遅れたようです。母は「私の問題を解決しないまま、あなたが昇進を是とするなら離婚する」と言っていました。今でも忘れません。

ロックミュージックは、歴史的に社会運動や時代背景と結びつき、不条理に抗い、公正な社会を求めるメッセージ性をもってきました。それは、フォークミュージックのプロテスト精神も受け継いだものです。ロック好きで、家庭環境の影響もうけた私が、働く人の力になりたい、理不尽を許したくないという思いから弁護士になりたいと思ったのはある種自然な流れだったのかもしれません。国家や大企業など力の強い者相手に裁判などで立ち向かう弁護士の仕事は、本来的にロックな仕事だと思います。

現在、経営者の方から、労務問題を含めたご相談やご依頼を受けることも少なくありません。その際、経営者の皆様にも労働基準法の遵守をはじめ、働く者の立場を理解した経営を行うこと、働きやすい労働環境における従業員の安定雇用や労働者の意欲向上、労働効率の向上をはかることが会社の発展に寄与することをご理解いただくよう努めています。そんな観点から、「ホワイト企業」を支援し、より良い雇用と労働を生み出す環境改善を支援する「ホワイト認証推進機構」を設立し、経営者に対して経営改善支援などを行い、企業のホワイト化を推進しています(共著「〔経営者ブック〕めざそうホワイト企業 経営者のための労務管理改善マニュアル」あり)。ブラック企業を告発するだけではなく、ホワイト企業を作り出していくこの取り組みも、ロックな取り組みだと思っています。

なお、ロックミュージシャンの夢はあきらめたわけではありません。そう遠くないタイミングで日本武道館でライブをすると思いますので(笑)、その際はご報告します。これからもよろしくお願いいたします。