城北法律事務所 ニュース No.83(2021.1.1)


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<事件報告>HPVワクチン薬害訴訟とコロナワクチンと薬害イレッサ

弁護士 阿部 哲二

HPVワクチンとは、子宮頸がんの予防を目的に開発されたワクチンで、日本では2009年に承認され、2010年12月からは小学校6年生~高校1年生までの女子を対象に市区町村より公費助成(無料)と積極的なお勧めが行われました。

ところが、副反応についての充分な情報提供がないまま多くの女子に接種を行ったことで、激しい体の痛み、歩行困難、光過敏、記憶障害など様々な症状に苦しむ症例が相次ぎ、国は2013年6月から定期接種として無料化しながら積極的なお勧めは中止する措置をとっています。

裁判は、2016年7月に東京、名古屋、大阪、福岡の4つの裁判所に国と製薬メーカー2社を被告とした損害賠償訴訟が起こされ、現在120名をこえる原告により審理が進められています。

ワクチンは、病気の人が服用する薬と異なり、健康な人が病気の予防を目的に接種するものですから、ワクチン接種で病気になってしまうことを避けるために通常の医薬品以上に安全性が求められることになります。しかも、ワクチン承認の臨床試験では、限られた人を対象とした試験結果から有効性、安全性を判断していることもあり、大規模な一般接種になった場合、思わぬ副反応が発生することがあるため、接種対象を拡大してお勧めするにはさらに充分な情報提供とした上で慎重に接種を広げていくことが求められるのです。

ところが、HPVワクチンでは、一過性の副反応のみしか生じないかのような情報提供が行われたにすぎず、国が積極的に勧めるワクチンだから大丈夫だと思わせるような安易な接種拡大の措置がとられ、副作用被害を拡大させていったのです。裁判は提訴から4年が過ぎました。

来年以降、いよいよ、証人尋問など裁判の山場に向かっていきます。新型コロナ禍のもと、大法廷を満席にしての白熱した尋問、反対尋問のやりとりが実現できるのか、まだ、見通しは定かでありませんが、当事務所からも4人の弁護士が弁護団に加入して奮闘しています。

新型コロナの収束に向けてワクチン開発への期待は高まっています。しかし、ワクチンは何が起きるか分からないのです。コロナウイルスをも打ち負かす元気な若者が、コロナワクチンの接種により重篤な副反応を伴う病気になるのは絶対みたくありません。拙速は禁物、安全性はしっかり確認してもらいたいと思います。

承認後2年半で550人以上の死者を出した薬害イレッサの被告企業アストラゼネカ社もコロナワクチン開発に突き進んでいるようです。アストラゼネカ社は、550人以上の死者を出したイレッサをがん細胞のみ攻撃し副作用が少ない「夢の新薬」などとして売り出してきた企業です。そのような製薬メーカーの賠償責任を免責してまで日本での導入を急ぎ、コロナワクチンで多くの被害を出すことなど絶対に認める訳にはいきません。