城北法律事務所 ニュースNo.92 2025夏号（2025.8.1）／創立60周年記念号 1965年～2025年

JOHOKU LAW OFFICE 60th ANNIVERSARY 2025 弁護士紹介 ❖ ひとこと

1968年入所　弁護士 菊池 紘（きくち ひろし）

福島第一原発事故で「経営者は何も手立てをとらなくてもよかった」とする司法の退廃

福島第一原発事故の経営陣の責任を問う裁判の二審判決が6月にありました。東京高裁は、責任を認めて13兆円の賠償を命じた一審判決を取り消しました。原告弁護団長の河合弘之弁護士は「判決は、津波が切迫していないと対策を取る義務がない。切迫していないものは何もしなくてもいいと言ったんですよ。しかし、あらかじめ切迫した地震が予測されて警報が出されて、そして地震が来たということが、これまでありますか（まったくありません）。それなのにその切迫の予測がないから経営陣は何もしなくてもいいと判決は言っている」と批判しました。

原発に求められていたのは、起こりうる日本海溝やその他の大きな地震を想定して、建物や機器の水密化などこれに対応する手立てをつくして今回のような事故を避けることでした。専門家たちが議論を尽くして作成した耐震設計審査指針は「極めてまれではあるが発生する可能性がある」津波によって施設の安全機能が重大な影響をうけるおそれがないことを求めています。

これをないがしろにして、ありえない「切迫」をここに持ち込んで、それがないから東電の経営陣は何もしなくても問題はなかったとする東京高裁判決に司法の退廃をみます。

1982年入所　弁護士 小薗江 博之（おそのえ ひろゆき）

続NHK「虎に翼」から

2024年夏号に続けてNHK「虎に翼」で気になったこと二つ。

1つ目は、主役の女性が、御茶ノ水の東京女高師付属中からの帰宅途中に、御茶ノ水のYWCAのプールで水泳してから帰宅したシーンがありました。戦前東京の女性は水泳を習うことがなく、御茶ノ水に住んでいた母や母の姉妹もずっと泳げませんでした。戦前の女子教育に水泳がなかったこと、唯一YWCAのプールだけは泳ぐことができたことを、脚本家の方は、このシーンで伝えたかったのでしょうか。小学校高学年のころ、私も何回かYWCAのプールで泳いだ経験があります。男子も小学生まではプールで泳ぐことができました。因みに無料でした。

2つ目は、ドラマで御茶ノ水駅東側の聖橋のシーンは、最初から最後のシーンに至るまで撮影されていました。もちろん背景にニコライ堂があるのでCGです。確かに人通りは多くなく、雰囲気は当時と変わらないと感じました。

しかし反対側の御茶ノ水橋の撮影は、なぜかありませんでした。こちらは聖橋と違い、戦前から橋上には大勢の靴磨き職人が並び夜には屋台が並びました。昭和30年前後でも、戦争で片足を失った方、目が見えない方が、蓆を敷いて、橋の上で寄付を仰いでいました。戦後まもないころ、橋の上の人はもっと多かったと、伝え聞いています。聖橋とは全く違う光景がありました。

今年のNHK「あんぱん」でも空襲を経た戦後の東京が映されていますが、東京大空襲で御茶ノ水の家が焼失したことを聞いている者として、どうして御茶ノ水橋の上のシーンがなかったのかと思ってしまいます。

1984年入所　弁護士 阿部 哲二（あべ てつじ）

映画「国宝」を観てきました。感動しました。妙に高い点数がネット情報で付けられていたので1100円の料金で観てきました。冒頭の組のヤクザがなだれ込んでくるシーンは深作欣二映画ばりの勢い、主人公の父親が殺される場面は健さんの映画の美しさで、これはなかなかいけるぞと思ったとおり、その後の若い俳優の演技も大したもので、映画館で見たい迫力ある感動の映画でした。

生き様というのか存在というのか、その重さが迫力となっていました。本当にたまにですが、ズシンと感動させてくれる映画を観たくなり、「ゴジラ-1.0」とか「オッペンハイマー」などを観ました。今年、70歳になります。たまには感動が必要です。

1991年入所　弁護士 工藤 裕之（くどう ひろゆき）

再び選択的夫婦別姓について

2024年衆議院議員総選挙において、与党の過半数割れで、選択的夫婦別姓が成立する期待が高まっていましたが、与党を助ける一部野党の不合理な対応もあって、現時点でもまだ成立していません。

この問題は、日本国憲法24条の素直な解釈をすれば、現行制度は違憲という結論にしかなり得ないのです。すなわち、24条1項は、「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し」と規定し、婚姻の成立要件は「両性（男女に限定する理由もありません）の合意」のみであることを明確に定めています。ですから、婚姻の手続を定める下位の戸籍法等の法律は、「両性の合意」（婚姻の意思の合致）を確認するために必要な要件しか定められず、この要件を加重する「夫婦の同姓の強制」などの要件を定められないことは明らかです。意味不明の「家族の一体性」や「日本の伝統」（明治以降の制度でしかありません）などは何の理由にもなり得ません。同姓がよければ、それを選べばいいだけで、別姓を選択できない根拠になどなり得ないのです。

いい加減に、意味不明、根拠皆無の「理由」で選択的夫婦別姓を30年以上も否定し続けるなど、やめるべきです。

1995年入所　弁護士 深山 麻美子（ふかやま まみこ）

今後もよき相棒に。

城北法律事務所、100周年を目指します！

城北法律事務所は、今年で開所から60年を迎えます。弁護士数は現在20名、池袋には城北以上の多数の弁護士が在所する事務所がいくつかありますが、60年もの間、城北地区の民主主義と人権と平和に関る問題に取り組み続けてきた法律事務所は他にはないと思います。もちろん城北法律事務所にも課題や改善すべき点は多々あります。が、城北地区さらには日本、人類全体の民主主義、人権、平和の実現を指向していく中で、少しずつでも解決・改善していくことは可能だし、そうしなければならないと考えています。私も、今年で弁護士になって30年。城北法律事務所がこれまで果たしてきた役割に誇りを持つとともに、100周年を目指して、城北法律事務所が、民主主義と人権と平和のために頑張っている方々の相棒として手を携えていけるようにしていきたいと思っています。

1998年入所　弁護士 大八木 葉子（おおやぎ ようこ）

国会では、28年ぶりに選択的夫婦別姓に関する法案が審議されています。
一般社団法人「あすには」が調査したところでは、選択的夫婦別姓が法制化されれば婚姻届けを出すという「結婚待機人数」は58万人超と推計されるとのことです。これだけ多くの人達が法制度の実現を望んでいます。
法律婚のうち夫の姓になるのは94.5%であり（2023年）、多くの女性に名義変更等による負担が生じています。弁護士の仕事上でも通称と戸籍姓が異なることで手続きが複雑になったり、手続きのたびに通称と戸籍姓の説明が必要になったり等の問題も生じています。
国連の女性差別撤廃委員会も繰り返し是正を勧告しており、制度導入などを求めて意見書を採択している地方議会もあります。
全員が別姓となるのではなく、同姓にすることも別姓にすることもいずれでも選択できる制度であり、今度こそ、法制度を実現して欲しいと思います。

2000年入所　弁護士 大山 勇一（おおやま ゆういち）

裁判官を国民が裁く！

みなさん、昨年10月の「最高裁裁判官国民審査」に投票しましたか？　投票するなら、審査対象の裁判官がどんな経歴でどんな判決を書いているのかを知ってもらおうと考え、学者・弁護士が集まって、毎回、リーフレットを作っています。その名も「主権者である私たちが最高裁を変えよう！」です。昨年は6名の裁判官（今崎幸彦氏、尾島明氏、宮川美津子氏、石兼公博氏、平木正洋氏、中村愼氏）の経歴を紹介し、「沖縄辺野古基地訴訟」「安保違憲訴訟」「同性パートナーへの犯罪被害者給付金事件」などの最高裁判決を取り上げ批評を加え、「裁判をしない裁判官」の代表格の今崎氏・中村氏には明確に「×」を付けるよう推奨しました。学者出身の宇賀克也氏のように人権感覚に優れた判事もいますが、残念ながらこうした方はごく稀です（しかも7月退官）。リーフは多くのメディアで取り上げられ、罷免率アップに貢献（？！）したようです。日本民主法律家協会HPにアップしています。国民審査制度の実効性を高めるため、今後は制度の改善策も提言していきます。

2002年入所　弁護士 松田 耕平（まつだ こうへい）

日 傘

うだるような暑さの続く毎日に嫌気がさし、とうとう日傘を買いました。何となく男性が日傘を差すことに心理的抵抗のあったステレオタイプな私でしたが、背に腹はかえられません。強烈な日差しから逃れるように店舗に駆け込み、周囲の視線を気にしながら（自意識過剰）、色々な日傘を手に取ったりして吟味を重ね、ようやく一本を購入。

店を出て、柄にもなく少しはにかみながら、また、周囲の人の視線をうかがいながら（再び自意識過剰）、日傘を広げて歩き出す。その先に待っていたのは、直射日光を浴びない快適なウォーキングライフでした。「ええやんけ！なんでもっと早くに買わへんかったんや！！」と、なぜか関西弁で後悔した次第です。

城北法律事務所も今年で設立60年を迎えます。時日の積み重ねは安定をもたらしますが、時に変化への弱さをもたらすこともあります。日傘を差して事務所へ向かうその道すがら、「うちの事務所も、昔からの良い点は維持しつつも、時代の変化に応じてより良くなったところは積極的に取り入れていくべきやな…」と、こちらもなぜか関西弁で思った今日この頃です。

2003年入所　弁護士 田場 暁生（たば あきお）

6月頭、長嶋茂雄さんが亡くなりました。長嶋さんは監督としての記憶しかありませんが、王・長嶋監修のルールブックを読んで野球を覚えたものです。昭和のスーパースターですので、今回ネットでいろいろ調べてみたところ、長嶋さんが監督時代に選手に対して鉄拳制裁を食らわせていた、という記事を見つけ、悲しい気持ちになりました。

私は小学生5～6年生のとき、担任の男性教師から度々、鼻血が出るほど往復びんたを受けるなどの暴力をふるわれました。私はガキ大将で先生の言うことを聞かなかった反面、勉強や運動はできたので、余計に気に食わなかったのかもしれません。「愛の鞭」という言葉がありますが、とても愛情など感じられませんでした。先生は私が中学に入ってから亡くなりましたが、死を悼む気持ちにはなれなかったのを覚えています。

暴力をふるうのは、言葉で説得できない弱さを持っているからでしょうか。子育てをしていてカッとなることも少なくないですが自らを戒めたいと思います。

2006年入所　弁護士 平松 真二郎（ひらまつ しんじろう）

1948年に制定された日本学術会議法には、「日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信に立って、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命とし、ここに設立される。」という前文がありました。
これは、敗戦を契機として、「学術研究会議」（1920年創設）、「日本学術振興会」（1932年創設）が侵略戦争遂行のための科学研究・技術開発の促進に大きな役割を演じたことに対する厳しい反省の上に制定されたものだったからです。

2025年に成立した日本学術会議解体法からは、「平和」の文字はなくなりました。軍事研究をはじめとする政府や財界の意に沿った方向に学術界を転向させることが新法制定の狙いだからです。

新たに発足する「日本学術会議」からは、科学者の戦争協力に対する痛切な反省は失われます。このような学術会議解体法は、学問の自由、表現の自由を脅かすものであると同時に、日本国憲法の掲げる平和主義の理念に真っ向から反する違憲な法律と言わなければなりません。

2007年入所　弁護士 加藤 幸（かとう さち）

副会長をやってます！！

今年4月から、第二東京弁護士会の副会長を務めています。1週間の半分以上は霞ヶ関にある弁護士会館で執務しています。

第二東京弁護士会には私を含め6名の副会長がいますが、弁護士会の活動は、専門分野毎の委員会（私の担当だと労働や憲法、人権擁護などがあります）の活動支援や、弁護士会としての意見や声明の発出、市民のみなさまへの各種法律相談サービスの提供、行政機関への委員等の派遣、学校等へ講師等の派遣など多岐に渡るので、副会長各人の担当業務の範囲は広く、毎日忙しく過ごしています。初めて経験する業務も多く、20年近く弁護士をやっていても知らないことはたくさんあるのだと、日々、刺激を受けています。弁護士会の活動は、第二東京弁護士会のホームページに掲載されていますので、お時間のあるときに見ていただけると嬉しいです。

2026年3月30日に第二東京弁護士会は創立100周年を迎えますので、今年度は記念すべき1年となります。責任も重く大変な仕事ではありますが、1年間の任期をしっかりと務めたいと思います！

2011年入所　弁護士 田村 優介（たむら ゆうすけ）

立ち退き要求が急増しています！

弁護士への相談をおすすめします

最近、店舗や住まいの立ち退きをめぐるご相談が大変増えています。

「建物が老朽化していて危険だから」「再開発エリアになったので」…そんな理由で立退きを求められたとき、提示された立退料が妥当かどうか判断するのは簡単ではありません。

借地借家法は、不動産を借りている側を守る法律です。とはいえ、実際の交渉では「裁判相場はもっと安い」「この金額を提示するのは今だけ」などと言われ、不安になって不十分な金額で合意してしまう方も多いのが現実です。

しかし、弁護士が入ることで当初提示していた立退料が大幅に増額される例は珍しくありません。当初引っ越し代程度しか提示しなかった相手に対して弁護士が粘り強く交渉し、当初の数十倍以上の条件を勝ち取ったケースもあります。

立退料は、過去の裁判例などから導かれる一定の目安はありますが、個別の事情によって大きく変わります。弁護士が交渉に加わることで、納得できる条件を引き出せる可能性が高まります。

「こんな金額なのか…しょうがないか」と諦める前に、一度ご相談ください。

2014年入所　弁護士 結城 祐（ゆうき たすく）

関わって下さる皆様のために

2014年12月に入所し、弁護士生活もあっという間に10年以上が経過しました。この事務所の50周年、60周年を迎えられたこと、大変嬉しく思います。この10年を思い返すと色々なことがありましたが、ご依頼者の方々、地域の皆様、事務所や家族の支えなくしては今の自分はなく、感謝しきれません。私も不惑が迫り、人生も折り返し地点になります。これからの人生をどう生きるかを考える時間も多くなりましたが、残りの弁護士人生、関わって下さる皆様の助けになりたいという初心を忘れずに、そして皆様の笑顔を見ることができるよう、よりいっそう精進を続けてまいりたいと思います。ご指導、ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

2015年入所　弁護士 木下 浩一（きのした こういち）

『一言』

当事務所は本年、創立60周年を迎えました。これに比して微力ながら、私も入所から切りよく10年を迎えたところです。
本誌の他記事でもご案内のとおり、入所以来継続的に関与してまいりました社会的に大きな訴訟も、全国の同種先行事件の最高裁勝訴判決が出され、一つの節目を迎えております（もっとも、残念ながら執筆時点では全面解決には程遠い状況です。）。この10年の時の流れは短く感じるものの、全国同種裁判の原告の皆様のご心労を慮り、また、この間2割を超える方が逝去された事実に鑑みると、その長さが肌身に感じられ、弁護士としての重責を再認識します。
創立以来60年の歴史の中で、当事務所と皆様との交流が着実に広がり、繋がり、それが当事務所の大きな幹となって、上記のような困難事件に向かい合うに際して、支えられているかのように感じることも多々あるところです。私個人は支えられてばかりですが、更に幹が大きくなるよう、今後も一層皆様との信頼関係を大切にし、日々の弁護士活動に邁進してまいります。

2017年入所　弁護士 久保木 太一（くぼき たいち）

九条の会中央事務局に就任しました

昨年より、同期の山田聡美弁護士（渋谷共同法律事務所）とともに、九条の会中央事務局を務めさせていただいています。

月2回の事務局会議では、小森陽一先生、渡辺治先生、小沢隆一先生、高田健さんという偉大な先輩方と顔を合わせ、情勢等に関する熱い議論を繰り広げています。

改憲阻止のために九条の会の設立が呼びかけられたのは2004年6月のことでした。今では全国各地で様々な九条の会が立ち上げられ、旺盛な活動が展開され、改憲阻止の大きな力となっていることはご承知のとおりです。

中央事務局として、全国の素晴らしい活動を広め、日本・世界を変える力へと変えていく一助となれればと思います。

2019年入所　弁護士 片木 翔一郎（かたぎ しょういちろう）

愛されて90年！？～ボードゲーム「モノポリー」～

コロナ禍以降、日本では家でできるボードゲームがひそかなブームになっております。私自身もこの5年間でボードゲームにどっぶりはまりました。そのはまりようは、事務所に新たに「ボードゲーム部」を立ち上げるほど。所員からの評判も上々で、事務所内のコミュニケーションに役立っていると自負しております。

特に私が最近はまっているのは、シルクハットをかぶった白髭のおじさんがトレードマークで、誰もがおもちゃコーナーで一度は箱を目にしたことがあるであろうボードゲーム、「モノポリー」です。「モノポリー」の歴史はなんと1930年代のアメリカにまでさかのぼるそうで、時代に合わせてルールやデザインを修正しながら、世界中の人々に愛され続けています。

私たち城北法律事務所も地域で愛されて60年になりました。大先輩の「モノポリー」には負けますが、これからも時代の変化に対応し、地域の皆様に愛され続けるよう頑張ります。

2020年入所　弁護士 和田 壮一郎（わだ そういちろう）

私が毎年取り組んでいる行事として「薬害根絶デー」というものがあります。

1999年8月24日、厚生省は薬害エイズ事件を反省し、薬害再発防止「誓いの碑」を庁舎正面に建立しました。毎年8月24日（今年は8月26日）を「薬害根絶デー」として薬害をなくすため、リレートークや集会を行ってきました。

私は薬害根絶デー実行委員会のメンバーとして、薬害の被害者、弁護士、支援者と月1回会議して、集会の企画や宣伝、また労働組合や医療系の団体など薬害根絶デーの支援を呼びかける活動をしています。今年で26回目。私が取り組んでいるHPVワクチン薬害訴訟の原告とも協同して、薬害根絶の思いをつなげていきたいと思います。

2024年入所　弁護士 田中 淳（たなか あつし）

共生社会と隣人

弁護士になってから一年が経ちました。この間、入管法の改悪反対運動や埼玉でのクルド人へのヘイトスピーチ対策弁護団に参加し、各団体で、声明文・書面を書いたり、外国人問題の報告・発表をしたりするなど外国人支援に取り組んできました。

現在、SNS上や街中での外国人へのヘイトスピーチだけでなく、地方議員や与党の有名政治家までもが、日本に住んでいる外国人を敵視した発言をして排外主義を煽っており、「違法」滞在外国人をゼロにするとして強制送還を強める動きが行政でもみられます。彼/彼女らの言うところによると、「良い」外国人と「悪い」外国人がいて、共生社会実現のためには、ルールを守らない「悪い」外国人は日本から出ていくべきだということです。しかし、「良い」外国人とは日本にとって経済的利益をもたらす都合のいい人間のことを指すのであって、苦難の中で「分をわきまえずに」権利を主張する外国人は悪い人間になってしまうのです。

苦難にある人々を排除しようとする者は良き隣人と言えるのでしょうか？共生社会における真の隣人とは何者であるかということを私たちは考えるべきときにいます。