城北法律事務所 ニュース No.84(2021.8.1)


Notice: Array to string conversion in /home/users/web03/1/1/0150011/www.jyohoku-law.com/wp/wp-content/themes/jyohoku-law.com/functions.php on line 75

目次

Array

<事件報告>全国B型肝炎訴訟で最高裁逆転判決
~最初の発症から一定期間が経過した被害者の権利救済に道~

弁護士 田場 暁生

私は、全国B型肝炎訴訟弁護団の一員です。全国B型肝炎訴訟は、予防接種の際の注射器等の使いまわしによってB型肝炎ウイルスに感染した被害者を原告、国を被告とする訴訟です。2021年6月に原告団・弁護団と国との間で基本合意を締結し、和解の基本的な条件がまとまりました。今年は、基本合意10周年の年にあたります。

しかし、基本合意の際に解決できなかった残された課題の一つに、最初の発症から一定の期間が経過したとして国から除斥期間(わかりやすく言うと時効の問題です)の主張がなされている人の救済の問題があります。

この除斥期間の問題について、2021年4月26日、最高裁判所は20年以上前に慢性肝炎を発症し、いったん沈静化した後に再発した原告2名について、除斥期間が経過しているとして請求を認めなかった福岡高等裁判所の判決を破棄し、逆転勝訴判決を下しました。

私は、全国弁護団員の一人として、最高裁判所の外で待機していましたが、そこに、「逆転勝訴」の旗を掲げた弁護団員が登場。原告の1人は、最初に発病してから35年、訴訟を起こして13年目の最高裁逆転勝訴判決でした。

今回の裁判の原告は2名ですが、弁護団では今回の最高裁判決をてこに、今後今回のケースと同様の「再発型」の被害者をはじめ、他にも除斥期間が経過したとして救済を拒まれている方々についても救済に向けて取り組んでいく方針です。

全国B型肝炎訴訟は、当事務所でも、多数の弁護士が弁護団に属し活動しています。

弁護団では、被害にあわれた方の裁判上の救済はもちろん、医療費助成やB型肝炎を治す薬の実現を求めて活動をしています。国の試算では、被害者は40数万人ともいわれていますが、提訴に至ったのはまだその2割程度の方にすぎません。母子感染かと思っていたが検査をしたらそうではなかったというケースも少なくありません。当事務所までお気軽にご相談ください。