城北法律事務所 ニュースNo.88 2023夏号(2023.8.1)


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<法律相談>
〈相続事件の法律相談 連載企画 第1回〉おじいちゃんが死んじゃった
各種届け出、行政の補助金、遺言・相続人調査、遺産調査

弁護士 和田 壮一郎

突然、大事な人がなくなってしまう。誰でもこういった事態には出くわします。今回は亡くなった直後に相続人がするべき手続きについてご紹介します。

1 亡くなってから葬儀まで

死亡後すぐに医師に死亡診断書を書いてもらう必要があります。死亡診断書は死亡届とセットになっています。死亡届は、亡くなった方の死亡地、本籍地あるいは届出する方の住所地の市区町村に提出します。同時に火葬許可申請書を提出し、火葬許可証の発行をしてもらいます。火葬が火葬場で終わると埋葬許可証が交付されます。こうした手続きは、葬儀社が詳しいためぜひ相談してみましょう。

亡くなった方が加入していた公的保険から葬儀費用の一部として葬祭費もしくは埋葬料が支給されますので、確認しましょう。

注意点としては、葬儀費用は相続人間で同意がない限り喪主が負担することになります。喪主が香典を受け取ることは問題ないですが、葬儀費用も負担することになります。

2 届けが必要なところ

(1) 各種保険、年金

健康保険、介護保険の資格喪失の手続をして、健康保険証や被保険者証を返却しましょう。故人の後期高齢者医療保険制度や介護保険制度の保険料は、再精算され未納があれば相続人に請求され、納めすぎていた場合は還付されます。医療費自己負担額が一定の金額を超えていれば高額医療費を請求できる場合があります。介護費についても高額介護サービス費として利用者本人が死亡した場合は相続人が請求できます。

年金についても年金受給権者死亡届を年金事務所に提出します。届け出が遅れ年金が支払われてしまうと返還を求められます。未支給の年金がある場合は相続人が請求できます。複雑な年金制度の変遷や年金基礎番号の未統合により年金が未支給になっている場合があります。故人の職歴や旧姓などの情報を集めて年金事務所に相談してみましょう。

(2) 預貯金

死亡時からできるだけ早くわかっている金融機関に届け出て被相続人名義の口座を凍結することが必要です。特に相続人が複数いるときは、死後に入出金があるとのちのち使途を巡ってトラブルとなる場合が散見されます。

同じ観点から被相続人のために使ったお金があれば費目と金額がわかるように領収書などを保存しておかないと相続人間でトラブルになることがあります。

3 遺言・相続人調査

相続手続については、まずは戸籍を収集し相続人を確定させます。そんなのわかっていると思う方もおられるでしょう。しかし、異母異父兄弟など認識されていない相続人が存在するケースもあり、いないものとして手続するとやり直しになる場合があります。このあたりは、弁護士にご依頼いただければスムーズに調査することが可能です。

遺言書も見つけておくといいでしょう。自筆証書遺言と呼ばれる自ら手書きしたものであれば検認という手続きが必要です。

4 遺産調査

相続手続には遺産調査も必要です。預金や有価証券だけでなく生前の借り入れ、被相続人名義で入院していた場合は未払いの医療費などマイナスの相続財産もあります。必ずしも相続人から見えるものばかりではありません。マイナスの財産が多ければ3か月以内に相続放棄をするという選択肢もあります。これについても弁護士にご相談ください。

[予告]
〈第2回〉相続人が分かったら ─遺産分割協議における相続割合、裁判所を使わない方法─
〈第3回〉相続財産の分け方 ─遺産分割協議における遺産の評価、遺留分、特別受益、寄与分─