城北法律事務所 ニュースNo.89 2024新年号(2024.1.1)


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〈相続事件の法律相談 連載企画 第2回〉
相続人がわかったら
~遺産分割協議における相続割合、裁判所を使わずに遺産分割をする方法~

弁護士 片木 翔一郎

前回は、被相続人が亡くなった場合に必要な届出や手続き、調査などについてお話ししました。

1 遺産分割協議が必要な場合

さて、調査で相続人と遺産が確定したら、いよいよ遺産を相続人全員で分けます。詳細な遺言がある場合にはその記載内容に従って分けますが、遺言が無い場合や遺言に具体的な分け方まで記載されていない場合(相続割合しか書かれていない場合など)には、相続人全員での話し合い(遺産分割協議)で分け方を決めます。

2 遺産分割の方法

遺産分割協議は、民法に定められた各相続人の相続割合(法定相続分)を基本に行います。例えば、相続人が配偶者と子2名である場合には、配偶者の相続分が2分の1、子らの相続分が4分の1ずつとなります。もっとも、相続人全員が合意するのであれば、この法定相続分と異なる割合で分けてもかまいません。

また、一口に遺産を分けると言っても、分け方は色々あります。例えば、土地であれば、①土地を二筆以上に分筆して分ける、②土地の名義を一定割合の共有名義にする、③土地を売却して現金で分ける、④相続人の誰かが土地の名義を取得し、他の相続人にはその代わりに代償金を支払うなどの分け方があります。どの分け方にするかもあわせて決めなければなりません。遺産分割には相続人の全会一致が必要ですので相続人全員でよく話し合いましょう。

さて、遺産分割協議がうまくまとまった場合には、その内容を「遺産分割協議書」にし各相続人が記名し実印を押せば遺産分割完了です。これにより被相続人の銀行口座からお金を引き出したり、不動産の相続登記をすることができるようになります。

遺産分割協議そのものは相続人だけで行うことができますが、弁護士に相談し依頼することによって円滑に進む場合もありますので、お気軽にご相談ください。

3 遺産分割協議がまとまらない場合

残念ながら相続人の一部が反対して遺産分割協議がまとまらなかった場合には、管轄の家庭裁判所に対して遺産分割調停を申し立てることになります。遺産分割調停は、裁判所が選任した調停委員が公平な立場から話し合いをサポートしてくれる手続きです。遺産分割調停でも話し合いがまとまらなかった場合には、遺産分割審判により裁判所が遺産分割方法を決定します。遺産分割調停・審判で具体的にどのような話し合いがなされるのかについては次号でお話しいたします。

家庭裁判所での遺産分割調停は、長期にわたる場合もあるので、この点を強調して解決を図ることも考えられます。

4 相続人だけで解決しない場合には

相続人間で遺産分割協議がうまくいかない場合や、遺産分割協議書の作り方がわからない場合、家庭裁判所に遺産分割調停・審判を申し立てたい場合などには、弁護士にご相談ください。また、相続人の間で遺産の分け方に争いがない場合であっても、相続人の中に、未成年者や高齢で認知能力が低下している人が含まれていたりする場合には遺産分割に特別な手続きが必要となる場合があります。この場合もぜひ弁護士にご相談ください。

[予告]
〈第3回〉相続財産の分け方 ~遺産分割協議における遺産の評価、遺留分、特別受益、寄与分~