城北法律事務所 ニュース No.85 2022 新年号 (2022.1.1)


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目次

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<事件報告>ハッピーロード大山商店街を守る取り組み
─控訴審に向けて─

弁護士 久保木 太一

事務所ニュースにおいても何度かご報告していますが、当事務所に所属する弁護士を中心として弁護団を組織し、地域住民側に立ち、補助26号線事業認可取消訴訟を戦っています。

補助26号線道路計画は、都内有数の商店街であるハッピーロード大山商店街(板橋区)を分断するものです。仮に道路が通ってしまえば、歴史ある商店街の大部分が失われることになります。商店街のシンボルであるアーケードもほとんど削られます。さらには他の再開発と相まって、大山のまちを激変させ、地域コミュニティを破壊することとなってしまいます。

そこで、当事務所の弁護士が地域の住民運動に参加するとともに、2015年に第1陣、翌年に第2陣訴訟を東京地方裁判所に提起しました。

昨年11月に原告本人尋問を実施し、原告団長、商店街利用者、区議に尋問を行い、ハッピーロード大山商店街のかけがえのなさや道路計画の不合理性について明らかにしました。

しかしながら、今年8月27日に下された地裁判決は、原告側の請求を棄却する不当なものでした。

そもそも原告となる資格について、(事業地周辺に居住していない)商店街利用者については認めませんでした。そして、弁護団が主張した、交通量に関する事情、防災性に関する事情、商店街の影響等のいずれの点についても、行政が示した説明を鵜呑みとし、適法だとしました。とりわけ、地域住民が道路計画に反対する大きな動機である、商店街が喪失してしまうという点について、わずか1ページ程度の判示で、踏み込んだ判断は一切されませんでした。
道路などの都市計画に関しては、法律上も行政に広い裁量が与えられており、訴訟で争うのは決して容易ではありません。その中で裁判所を説得し、もしくは行政側を翻意させるためには、根強い住民運動が必要不可欠です。

私自身、板橋区に居住しており、ハッピーロード大山商店街をよく利用しているのですが、そもそも、利用者の中に、商店街を分断する道路が通ろうとしているという情報が共有されていないように思います。多くの人が望んでいないのに、知らぬ間に商店街が無くなっているということにならないかと危機感を強めています。

弁護団において訴訟を戦うための戦略は日々練っているところですが、道路計画の存在を広め、運動を拡大することこそが、訴訟戦術以上に重要な局面となっています。

原告団・弁護団はすでに東京高等裁判所に控訴を提起しており、戦いの舞台は控訴審に移っています。控訴審での逆転勝利判決を得るために現在、控訴理由書を作成中です。

訴訟の内外を含め、原告団・弁護団への応援をよろしくお願いします。