城北法律事務所 ニュース No.81(2020.1.1)


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〈事件報告〉「備えあれば憂いなし。」死後のもろもろ、大丈夫ですか? ~死後事務委任と遺言書~

弁護士 大久保 秀俊

1 死後事務委任とは

人が亡くなると、行政への届出や、火葬、埋葬、各種支払いといった手続をしなければなりません。また、自宅を借りていれば、片付けをした上で退去しなければなりません。このように、人が亡くなると、非常に煩雑な手続をしなければなりません。死後事務委任とは、このような亡くなった後に必要な手続を第三者に委任するものです。

なお、亡くなった後のことを定めるものとして遺言書もあります。遺言書は自分が亡くなった後に、誰かに自分の財産を引き継がせるために作成するもので、原則としては自分の財産をどうするかについてしか効果がありません。遺言書と死後事務委任とでは、役割が異なります。

自分の財産を引き継がせようと思っている人がいる場合であっても、その方以外に、身寄りがなかったり、疎遠だったりして、死後事務をお願いできないこともあるかと思います。また、身寄りはいて、その方に財産を引き継がせようと考えているけれども、そこまでいろいろな手続を任せるには抵抗があるという方もいらっしゃるかと思います。そのような方は、遺言書の作成とともに、死後事務委任契約の締結を考えてみるとよいでしょう。

2 死後事務委任でできること

では死後事務委任では何ができるのでしょうか。

死後事務委任契約では、遺体の引き取りや、行政への届出、火葬や埋葬のこと、病院代等の清算や年金の手続、クレジットカードや各種契約の解約、自宅の片付けや退去といった身の回りの整理をすることができます。特に、火葬については、直葬等の簡素なものをご希望される方が多いです。埋葬についても、〇〇寺にという方だけでなく、散骨をご希望される方もいらっしゃいます。また、中には、亡くなった後にSNSを削除して欲しいといったご依頼もあります。死後事務委任では契約でこれをやって欲しいと定めれば、ある程度柔軟に対応することができます。 

3 実際のケース

実際に私が担当したケースをもとに、代表的な死後事務の手続をご紹介します。

まず、生前に、亡くなった際に連絡を取る方や、火葬・埋葬の方法についてお話をしておきました。そして、亡くなったとの連絡を病院から受けてから、遺体を引き取りに行き、火葬の段取りをしました。また、家族には知らせないで欲しいが、友人には知らせて欲しいとのご希望でしたので、友人と連絡を取り、一緒に荼毘に付しました。火葬後はあらかじめご本人が希望されていたお寺にお骨を納めてもらい、余ったお骨は散骨しました。あわせて、賃貸の自宅も業者を使って片付け、原状回復のうえ、退去しました。その上で、同時に作成した遺言書に従い相続手続をとりました。

4 最後に

遺言書もそうですが、死後事務委任についても、死期が迫ってから考えるのではなく、元気なうちにどうするか考えるべきことです。実際に死後事務のご相談を受けることもとても多くなっています。このコラムを読んで興味をもたれた方がいましたら、まずは、大げさに考えず、弁護士まで相談をしてみてください。あなたのケースでどのような対応が可能か検討いたします。

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