城北法律事務所 ニュースNo.93 2026初秋号

目次

所員からの ひとこと

September 2026

弁護士 菊池  紘

7月19日の国会行動

7月19日の国会行動に加わった。2万5千人が参加し「憲法守れ」の唱和が夜空にこだました。
この日国会議事堂前駅で降りると、警察官が「集会は国会図書館前に変更されました。そちらにお回りください」と誘導していた。僕はなぜ狭い図書館前になったのかを聞いた。警官は「別の集団との衝突を避けるためです」と答えたが、「妨害を規制して許さないのが警察の役割でないですか」との質問には答がなかった。(国会前をわずかな右翼がほしいままに占拠したことを知ったのは後のことだ。)
国会の外周を大回りしてようやく永田町駅前に行くと、機動隊の大型車が次々に走りこむ異様な光景をみることになった。狭い図書館前では人々が膨れ上がって、とうとう車道を埋め尽くすまでになった。主催者は「集会の成功のために車道から戻ってください。ひとりも犠牲者を出さないように」と必死に呼びかけていた。
かつて2015年春から夏にかけて国会周辺は戦争法に反対し怒りに燃えた人々に埋め尽くされ、多い日には12万人が集った。何度か車道を埋め尽くした人々を警察はまったく規制できなかったことを思い出しながら、帰路に就いた。

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弁護士 小薗江 博之

区分所有法の改正

今年4月から、管理・再生の円滑化を推進するため、マンション関連法が改正されました。字数の関係で、議決の緩和を中心に説明します。
従来は「全区分所有者」を分母にして多数決割合が定められていたため、「所有者不明」「無関心所有者」が多いマンション等は、そもそも決議ができないという問題がありました。
今回、建替え以外の修繕等の決議は、集会出席者の多数決で決議ができるようになりました。また建替の場合でも、裁判所の認定があれば所在不明者を決議の母数から除外することができます。
併せて、共用部分の変更決議の多数決要件が緩和されました。特に、居住者・近隣住民に安全・衛生などの危険が及ぶことを避けるための決議(バリアフリー化など)は2/3に緩和されました。
総会招集は、遅くとも1週間前までに議案の要領を全議案で書面送付することが新たに義務付けられています。
総会の定足数は、半数以上から過半数に変更されました。
総会への参加は、オンライン参加、書面による議決権行使、電子メール等での委任状提出が可能となりました。
また耐震性不足で建替え等をする場合等の特例適用の場合、全所有者の4/5から3/4に緩和されました。

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弁護士 阿部 哲二

「婚約破棄された女性は裁判に訴えた」男性が改姓に求めた「それなりの理由」とは

7月に朝日新聞デジタルニュースで報じられた裁判です。二人は8年間の付き合いを経て婚約しました。婚姻届を提出するにはどちらかの姓を選択しなければなりません。女性はずっと自分の姓を名乗り続けたいと言ってきました。二人は籍を入れるまでに二人で話し合って決めようと話していました。ところが男性が急に、自分は長男だから、自分の姓を継がなければ親から勘当される、男が姓を変えるにはそれなりの理由が必要などと言い出し、婚約が破棄されてしまったのです。婚約の不当破棄として裁判を起こしました。男だと、長子だと、何故それなりの理由が必要なのか。女性なら改姓が当然というのか。憲法が求める個人の尊厳、両性の本質的平等に反し、解体された家制度すら持ち出すもので不当以外の何ものでもありません。夫婦別姓を認めず、男系男子の天皇家を維持しようとする皇室典範の思想につながるものと思いませんか。当事務所の寺澤純香弁護士とともに担当しています。

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弁護士 工藤 裕之

しまなみ海道

ここ最近、しまなみ海道をレンタサイクル(クロスバイク)で、広島県の尾道から愛媛県の今治までの70km超を、妻と一緒に走っています。しまなみ海道の標準的なサイクリングルートは、尾道から瀬戸内海の向島(むかいしま)、因島(いんのしま)、生口島(いくちじま)、大三島(おおみしま)、伯方島(はかたじま)、大島(おおしま)の各島をつなぐ橋を渡って、今治に至るコースです(途中サイクルスポットが何か所も設けられています)。橋の上や海沿いの道から見る瀬戸内海の景色は素晴らしいの一言に尽きます。途中、ウサギの島で有名な大久野島(おおくのしま)で一泊することにしています。ここは多くの可愛いいウサギたちがいて、とても癒されますし、旧日本軍の毒ガス基地の跡が残されていて、一度見学することをお勧めします。また、大島から今治市街地をつなぐ4kmに及ぶ来島(くるしま)海峡大橋の下には大きく青い瀬戸内海が眼下に広がっており、まさにしまなみ海道で一番の絶景というべきものです。ぜひ一度訪ねられたらいかがでしょうか。

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弁護士 深山 麻美子

戦争は醜い

先日、長年行きたいと思っていた広島の原爆資料館を訪ねました。衝撃を受けたのは、被爆した子供たちの服でした。サイズからみて、まだ小学校低学年くらい。こんな小さい子供達が、なぜこれほどの痛み、苦しみを受けなければならなかったのか。いや、中学生も高校生も、大人も、そして広島にいた外国人も、原爆の業火に焼かれ、地獄の苦しみを受けたのです。他方で、日本も、戦争で沢山の外国人を殺害し、傷つけ苦しめた歴史があります。
戦争は狂気です。一旦戦争が始まってしまうと、狂気が膨らみ、勝つためなら、相手国の国民を傷つけ、苦しませることなどどうでもよくなる。原爆はその最たる武器として生まれました。
人を醜い狂気の沙汰に追い込む戦争は決して始めさせてはならない、戦争ができる国にしようとする美辞麗句や威勢のいい言葉にうかうかとのせられてはならないと改めて強く思いました。

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弁護士 大山 勇一

再度の執行猶予

窃盗(万引き)をして逮捕された方の刑事弁護を引き受けました。その方の刑事弁護を担当したのは3度目でした。初回は罰金刑、2度目は執行猶予判決、いずれも万引きです。今回は執行猶予期間中の犯行でしたので、実刑が必至の状況でした。執行猶予というチャンスをもらいながら更生できなかったのですから、当然なのかもしれません。実刑になると、前回の刑に今回の刑を加算した期間、刑務所に行くことになります。
反省だけでは犯罪を繰り返すことを自覚してもらい、保釈後はクレプトマニア(万引き依存症)との診断を得て通院してもらいました。また専門医作成の「刑を科すよりも医学的な治療が必要だ」との意見書を証拠提出しました。買い物には家族が同伴することを徹底しました。そうしたところ、判決では、「情状に特に酌量すべきものがある」とされ、「再度の執行猶予」が認められました。
再度の執行猶予がつく方は再犯者の5%未満だそうです。2025年の刑訴法改正により再度の執行猶予付与の要件が緩和されましたので、今後はその可能性が高まるでしょう。

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弁護士 松田 耕平

全面救済へ向けてもうひと頑張り

かれこれ20年近く担当している建設アスベスト訴訟。第1陣訴訟と第2陣訴訟では昨年8月に大規模な和解が成立しましたが、残念ながら和解成立に至らず、判決を迎える原告の方々がいます。第3陣訴訟も同様で、今年5月(2陣訴訟)、7月(1陣訴訟)、8月(3陣訴訟)と続けて、和解の成立しなかった原告について判決が下されます。
2021年5月の最高裁判決を契機に国による給付金制度もできて、“建設アスベスト訴訟はすでに解決している”と思われる方もいますが、全面解決への道は遠く、まだまだ続きそうです。1陣訴訟と2陣訴訟は争いの場を最高裁へと移すことになりますが、屋外作業や解体作業に従事された方々に対する建材メーカーの責任を否定した最高裁判決を覆さなければなりません。これは本当に容易なことではないのですが、乗り越える壁は高ければ高いほどやりがいがあるというものです。以前のニュースで紹介した好きな歌人・加藤千恵さんの短歌「幸せに ならなきゃだめだ誰一人 残すことなく省くことなく」を胸に、全てのアスベスト被災者の救済のために、もうひと頑張りする所存ですので、ご支援を是非お願いします。

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国旗損壊罪法に反対します。

弁護士 平松 真二郎

1999年に成立した国旗国歌法ですが、国旗国歌に対する尊重義務は排斥され、条文化されませんでした。法案審議においても、法制化することが、国旗国歌の尊重することの強制につながるものではないと繰り返し答弁されてきました。国旗損壊の処罰化はこれまでの政府の立場と相容れません。
いま国旗が「公然と損壊、除去または汚損する」行為が起こっているでしょうか。国旗を大切に思う国民の感情が害される事態が起きているでしょうか。
「他人に不快、嫌悪の情を抱かせる方法」といったあいまい不明確かつ抽象的な刑罰法規はそれ自体違憲無効となるべきものだと思います。そうであっても制定されること自体、表現の自由・思想良心の自由に対する重大な委縮効果が生じることは明らかです。
言うまでもなく、人権の擁護は、少数派の人権の擁護であることに実質的な意味があります。個人の精神的自由への権力の介入が一段と進んでいることに抗議をし続けないといけないと思います。